株式会社ワコール様
「人々の美しくなりたい気持ちにお応えしたい」と時代の要求する「美」を追求した新製品を開発し、多くのお客さまに長く愛される商品づくりに情熱を注いでいる株式会社ワコール様。高い品質や技術を生かし、インナーウェア(主に婦人のファンデーション・ランジェリー・ナイトウェア及びリトルインナー)、スポーツウェア、その他の繊維製品及び関連製品の製造、販売など幅広い製品を展開されています。今回は、デザイナー経験もあり、現在は商品開発の第一線で活躍されているワコールブランド商品企画部 商品開発課(※)で勤務をされている、専門課長の福永さんにお話しを伺いました。
※2022年3月現在の所属名
第1ブランドグループ
ワコールブランド商品企画部商品開発課(※)
開発担当専門課長 福永千春さん
※2022年3月現在の所属名
第1ブランドグループは、主に百貨店やCS店(量販店)で販売されるような基幹ブランド「ワコール」のキャンペーンを含む商品や「サルート」に代表される専門店を中心に卸している商品などを取り扱っています。
商品開発課は、キャンペーン商品という看板商品や開発難度の高い商品の開発提案、素材部材開発、商品機能開発を担っています。
私が入社する前から井上リボン工業さんとはお取引がありましたが、デザイナーをしていた当時、ワコール60周年記念として、会社から、『今までの集大成を作ろう』という非常にプレッシャーのある指示がでました。
その頃、ある商社から高機能繊維である「ナノファイバー」を紹介されたのですが、初めての『ナノ』は、今まで触ったことのない素材であり、取り扱うにあたっての課題も多く、ナノという単位の素材が未知すぎてどうしていいのか分からない日々が続きました。 そして後日、商社から「井上リボン工業さんが、取り扱い課題を攻略できるかもしれない!」との連絡があり、ナノは滑り止め効果があることから『ずれないテープ』の商品化に向けて共同開発をすることになったのです。
とにかく動きが早いです。私達は、機能のエビデンスを取ってから販売をするので、開発期間のスピードが重要です。その流れを熟知してお付き合いいただけることに感謝しています。まさに井上リボン工業さんは最後の砦です。他社が渋られることも親身になって限界までやってくれていると思います。まるで、弊社の社員かのようにいてくれる。だからこそ、信頼してタッグを組めるのだと思います。
また、新入社員や材料購買などの担当者が井上リボン工業さんにて現場見学と座学研修を受けさせてもらっています。ストラップ(肩紐部分)やストレッチテープを作っている生産工場を生で見ることは貴重で、立体的にモノを捉えることができ、商品構造工程や発生するリスクを理解することにつながります。また、「糸がほつれる原因について」や、「あの構造だからこれは難しい」など繊維組織を細かく知ることができたことで、 以後の開発や商談のやりとりもスムーズになります。 さらに井上リボン工業さんは、トレンド情報をしっかりリサーチされています。半期に1回の春夏、秋冬コレクションブック帳で、新商品を見せていただくのですが、材料としてだけではなく、製品イメージ資料も一緒に見せてもらえるので、デザインのイメージが膨らむような提案は本当にありがたいです。
私たちはこれからも様々な背景を持った顧客のインサイトに結びつくような『心と体を快適にする』製品や部材を作っていきたいと思っています。市場には新しい素材がどんどん出来上がってきており、美の基準も変わっていく中ではありますが、サステイナブルな素材を使ったものや、より人に優しく自然なものに目を向けて、井上リボン工業さんと攻めの姿勢で望みたいです。ナノの時もそうでしたが、井上リボン工業さんには知恵や知見があって、商品化がなされていくので、その緻密な開発を共にできたらいいなと思っています。