フクビ化学工業株式会社様
床下から内装、外装、屋根裏や養生に至るまで住宅に関わる製品、また車輌、家電、設備機器、オフィス家具といった様々な産業分野の資材、そして反射防止などの機能をもつ精密化工製品など、幅広い分野で開発・製造・販売を展開しているフクビ化学工業株式会社様。創業68周年を迎えた今も、化学に立脚した樹脂成形技術によって新たな価値を生み出し、世の中の様々な日常を支え続けています。今回は、CSE事業部 事業部長の高橋さんにお話を伺いました。
CSE事業本部 副本部長
CSE事業部 事業部長
高橋一茂様(写真左)
事業部名の「CSE」とは、カスタマー Customer(顧客)・サスティファクションSatisfaction (満足)・エクスペクテイション Expectation(期待)の頭文字をとって名付けられたもので、社長の肝煎りの本部です。お客様の要望・期待に応えて、様々な産業分野に使われる製品を技術開発し、製造・販売しています。私自身は入社以来長年携わってきた、金型の設計・製造や生産技術での経験を活かし、今は新規顧客開拓や新製品の企画・開発を行っています。
今から4年前、東京支店にいた私は、LED光を入れると線状に光る柔らかい樹脂の棒『光ガイディングバー』を拡販していました。その開発と拡販を推進する社内プロジェクトにおいて、異業種分野の繊維・アパレル業界とコラボできないだろうか、何か面白いコトができたらいいなと考え、福井の商社さんにお声掛けさせて頂いたところ、ご紹介頂いたのが井上リボン工業さんでした。
繊維に光る樹脂をプラスする付加価値を持って、繊維やアパレルという新たな業界への参入を狙う私たちと、当時LEDユニットと特殊な光ファイバーを織り込んだテープ「シムライト」を開発されていた井上リボン工業さん。互いに光の演出による付加価値で新規分野を切り拓きたいと大いに意気投合したことを記憶しています。
私どものあるお取引先様から、「現在使用している気密パッキンについて、裂け・ちぎれの問題をなんとできないか」と相談されました。パッキンは材料がゴム系なので滑りが悪く、さらに伸びるために、使用時に裂けてしまうことがあります。そこで、パッキンの強度を上げるためにはどうするかを考え、強度をあげるため、ゴム(樹脂)と繊維の複合品の開発を始めました。御社の繊維素材との共同開発により、試行錯誤を重ね、ゴム(樹脂)の中にメッシュ素材をインサート成形し強度をあげることに成功。強度と細さを両立させた繊維の選定に半年、強度の判定に半年かけ、ようやく私たちが求めていた「強く・細く・熱に強い」革新的なパッキンが完成できました。繊維を複合するにあたっては、糸の選定や織り方など、たくさんのご提案いただいた井上リボン工業さんの存在はほんとうに心強く感じています。
井上リボン工業さんと実際に取引させて頂いてよかったと思うことは、どんなに難しい局面でもあきらめずに『改善』を提案してくれるところです。私たちの開発パートナーとして、うまくできるかどうか見当もつかないことに対して果敢に挑んでくださいました。私たちの求めるスピード感についてきてくれたことも大変ありがたかったですね。
今後も新規案件における、協働開発のスピードをお願いしたいです。また、業種違いの情報も非常に参考になり、定期的な情報交換を期待します。
弊社も開発型企業として、引き続き新しいことに挑戦していきたいと考えています。多様性や快適な暮らしなどSDGsが浸透していく中、同じ福井の企業として、新しい付加価値、素材、お客様の喜びを共に開発・共感していけたらと思います。